継ぎネック修理
スクロール部を残して、ネック部をすべて新しい材で作り直す修理です。
ネックが折れてしまった際の最善の修理方法である他、ネックの長さがあっていない楽器や劣化した古い楽器のネックを新しく挿げ替える際にも取る方法です。
なんとなく高価なオールド楽器の修理方法というイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、継ぎネックを行うことでネックの長さや形の最適化、プロジェクションの調整、指板修正などに加え、ネックとボディの密着精度も良くなるので、楽器のポテンシャルを最大限引き出せる修理でもあります。
倒れた衝撃で折れてしまったネック。まずはペグボックスの割れを修理します。
今回はもとの指板を再利用するので、ヘラを入れながら慎重に指板を剥がしていきます。
続いてネックの仕込み口の再形成です。不要なネック部をノコギリやノミを用いて全て取り除きます。
仕込み口に残ったにかわをきれいに除去してから、足りない部分に木を足します。
スクロールの接着面の加工と新しいネック材。
それぞれが完璧に密着していることを確認したら、にかわで接着します。
接着後、ペグボックスを削り出します。
続いて指板の接着とネックの成形
ここまで準備できたらいよいよボディにネックを入れていきます。
ヘッド部の接着の時と同様、仕込み口とネック材の完璧な密着を確認しながら、少しづつ慎重に合わせていきます。
ここの密着精度は楽器の鳴りに大きく影響してくる部分なので、時間をかけても限界まで追求します。
無事接着できたら、ヒール部の成形とネックの仕上げを行い、白木部分にニスを塗ります。
ナット調整、指板修正、駒調整を行ったのち、仕上げに楽器をクリーニングして薄いシェラックで磨き上げます。
セットアップをして完成
つらつらと作業工程を紹介していたら長くなってしまいました。
安くない修理ですし、やるのにも勇気のいる修理だと思うので、少しでもどんなことをやっているのか知っていただけたら良いなと思い今回紹介させていただきました。
修理の際に調整できるネックの出幅や角度、弦高などの演奏感に直結する部分については奏者の方と事前に相談し、ベストな調整を行います。
ネック折れや弾きにくさに悩まれている際には是非ご相談ください☺︎