弾きやすい楽器とは
弾きやすいコントラバスって、どんな楽器でしょうか。
サイズが小さくて弾きやすいとか、ネックが細くて弾きやすいとか、いろいろと想像されると思いますが、そもそもなんで同じコントラバスという楽器なのに弾きやすいとか弾きにくいとか議論の的になるんでしょうか…
コントラバスという楽器はヴァイオリン・ヴィオラ・チェロのヴァイオリン族とは異なる祖先を持ちます。
演奏法や調弦、楽器の形など様々な違いがありますが、ヴァイオリン族と比べたときの最大の違いは現代においてもそのサイズや弦長、セットアップのバランスにいたるまで明確な指標がないことだと考えています。実際に修理や調整に訪れる奏者たちの楽器を見ていても、そのどれもが実に様々な個性を持ち合わせています。
サイズやセットアップにおいて様々な個性を持つ楽器があるというのは面白く素晴らしいことですが、その反面、中には奏者のパフォーマンスを最大限発揮できないような状態の楽器も多く存在していると思います。最初の製作やセットアップの段階から適切なバランスでつくられていない場合もありますし、気候の変化や使用しているうちに出てくる楽器の歪みが放置されていることもあります。コントラバスという楽器がサイズやセットアップにおいて様々な個性があるがゆえに、それらの歪みに気がつかずに演奏を続けているなんてことは特に楽器を初めて間もない方などに多いように感じます。
コントラバスはただでさえバカでかくて弾くのに苦労する楽器だというのに、弾きにくい状態の楽器を弾き続けるということは奏者の上達を妨げ音楽表現の幅を狭める要因となってしまいます。そのような問題を少しでも解決すべきと考え至ったのがこの事業を始めようと思ったきっかけでもあります。
前置きが長くなってしまいましたが、僕の考える弾きやすい楽器の条件をいくつか紹介させていただきます。楽器の演奏感を決める要素は膨大にありますが、中でも一般的な修理や調整によって改善可能であるという点を踏まえたものが以下の条件です。
・弦高が適切である。
・弦長に対するネックの長さが適切である。
・駒の高さとカーブ、楽器のC部の形状が右腕の自然なボウイングの動きを制限しない。
・楽器の肩、背中、ネックの角度が自然な運指伴う左腕の動きを制限しない。
次回はそれぞれの条件についてすこし深堀りした内容を投稿していきます。ここまで読んでいただけたあなたのようなコントラバス大好き人間には興味深い内容になると思いますので、是非お楽しみに☺